平成23年 社長訓示
お知らせ
2011.01.05
平成23年初日の出(大分県佐伯市)
社員 各位
「伝える力」が仕事を変える
(平成23年の新春を迎えるにあたって)
新年明けましておめでとうございます。
平成23年の新春を迎えるにあたり、ご挨拶申し上げます。
~ 中略 ~
昨年、東京・墨田区で建設中の東京スカイツリーの高さが東京タワーを超えました。完成すれば、世界で最も高い電波塔となることやその斬新なデザインと美しさからマスコミにも多く取り上げられ、不況で暗いニュースばかりの中、全国民に夢と希望を与えています。建設業界の一員としても誠に誇り高いことであります。
当社におきましては、平成19年2月に着工したフォレストシティ造成工事が苦労の末、ひと段落し、既に量販店の出店や住宅の販売が始まっています。地元、春日市に新しい街が誕生すること貢献できたことは喜ばしい事であります。年末には、関門トンネル改修工事を昼夜なく突貫作業で行い非常に厳しい状況でありましたが無事に竣工することができ、高い評価を頂きました。
受注面では、工事規模はさておき、新たなお客様からの受注が増えていることが特徴であります。沖縄においては、億首ダムの本体工事、若狭の下部工、沈埋函関連工事など着々と受注を伸ばしています。元請工事では評価方式での点数が思うように出ておらず、受注件数は前期に比べ減少していますが、ゼネコンと当社のJVによる受注が実現しております。今期残された期間で受注目標の達成に向けて、現場との連携を取りながら、受注活動を強化していかなければなりません。
上期の業績では、売上の減少も伴い各現場の利益創出が進まず厳しい状況が続いております。既に、売上・利益創出ともに回復傾向にありますが、現在、現場で掲げている目標を必ず達成するには、どのような課題を持って、生産活動を行うか、検討を繰り返し、あらゆる角度からのアプローチを実践することが急務であります。
*****企業風土の改革*****
昨年5月、私は社長就任した際に「社員の力量を把握し、それを最大限発揮できる仕組みと環境を作り、力を合せ難局に向き合っていけば、個々の能力が少々不足していようとも社員個人も企業としても更なる成長を遂げることができるはずである。」と述べました。
しかし未だこのような社内風土が出来ているとは思えません。また社員の皆さんもこの厳しい難局に向かう姿勢が出来ているとは思えません。そこには様々な課題があると、考えています。
当社は、顧客や社内のリーダーによる強力な指導力とその勢いによって、どんな難工事であっても確実に施工を完了させ、顧客の厚い信頼を頂いてきました。その結果、組織力があり、現場での作業能力が高いという評価を頂いております。しかしそれは果たして本物であるか。それを問い質さなければなりません。
当社の評価は、裏を返せば、厳しい指導力により組織力は発揮するが社員一人一人の技量・能力・長所が十分に発揮できていないとも言えます。これでは変化する顧客要求や厳しい価格競争に対応した施工に挑む事は出来ません。
今の競争に打ち勝つには、社員一人一人が個性を伸ばし、その力量を充分に発揮することによって、細部に渡る配慮が行き届いた施工を実現しなくてはなりません。それが結果的に‘真の信頼’に繋がるのです。これを実現するには、押さえつけの教育や厳しい統率力だけでは個々の能力向上は望めません。一人一人自らが今自分に何が必要で、どのような課題を持って業務に携わっていくかをよく理解した上で、個人のスキルアップを進めることが最も重要な課題であります。また会社全体として、その個々の集合体であるという認識の下で、コミュニケーションを充分にとれる風土を作り上げ、個人と組織の両方のスキルアップを進めていかなければなりません。
*****「伝える力」*****
昨年、キャスター、コメンテイター等幅広く活躍した「池上彰」というジャーナリストがいます。この方が出版した『伝える力』(PHPビジネス新書 池上彰 著)という著書の中で、コミュニケーション能力は現代人にとって益々その重要性が問われるようになっており、「伝える」こととの難しさと大切さについて様々な角度から説明しています。
「伝える」ことは、「話す」「書く」「聞く」の3つの要素がある。「話す」「書く」は当然のことながら、「聞く」ことは、相槌を打ったり、うなずいたり、目をジッと見たり、目をそらしたり、これらは何かしら相手に「伝える」ことになるので、「聞く」ことも重要なコミュニケーションの要素の一つであると言っています。
先に述べた社内風土の改革に必要な事は、まさに、この「話す」「書く」「聞く」の三つの重要性を捉えて改善していかなければなりません。人に何かを「伝える」ということの難しさを充分に認識することが最初に必要な事であります。
寡黙で、勤勉な人が必ずしも成功する人とは限りません。現代社会では、自分の考え、意思、主張をしっかりと伝えて、コミュニケーションを上手くとっていかなければ、少し言い過ぎかもしれませんが、勤勉に働いても何の価値も無い世の中になってしまったのです。黙々と働けば、いずれ誰かが評価してくれる、親父の背中見て育つ、というような時代は終わったのです。
「伝える力」の3つの要素について、個々と組織の双方において、どのような状態であるかを検証をして、コミュニケーションの改革を行い、当社の企業風土を変えていかなければなりません。
***結 び***
昨年は、気象庁が113年間の観測史上、最も暑い夏だったと発表しました。熱中症で 救急搬送された人は全国で昨年の4倍だったそうです。当社ではこの暑い夏を皆様の努力により、一人の熱中症も発生させることなく乗り切ることが出来、さらに全現場において、1件の災害も発生させなかったことは誠に誇らしい事であります。まずは年度内の無事故無災害の目標達成に向けて、弛まぬ努力をお願い申し上げます。
本年も、経営理念の“力強く信頼される企業へ”の下に、社員の皆様共々、会社が成長し続けることを目指して、共に頑張っていきましょう。
ご家族の皆様のご健康ご多幸を心より祈念申し上げ、結びの言葉とさせて頂きます。
平成23年1月4日
株式会社塩月工業
代表取締役 塩月啓司