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平成28年 社長訓示

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2016.01.06

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                                       平成28年1月4日

社員各位

                  「啐硺(そったく)の機」
               (平成28年新春を迎えるにあたって)

 社員のみなさん、新年明けましておめでとうございます。
 平成28年の新春を迎えるにあたり、ご挨拶申し上げます。
 昨年は、戦後70年という節目の年を迎えました。政府は戦時中から今日までを振り返る安倍談話の発表、慰安婦問題の妥結、さらに国会議事堂周辺で反対デモが行われる中、安全保障関連法を成立させる等、国際的な諸問題にメスを入れてきました。一方、国際社会では過激派組織イスラム国によるパリ同時多発テロなど、今までに考えられないテロ行為が発生し、不安定な情勢が続いています。
また大手企業による不正事件も相次ぎました。免震ゴムの性能試験データ改ざん、杭工事のずさんな施工、大手電機メーカーの不正会計が発覚、海外ではドイツの大手自動車メーカーによる排ガス規制の不正ソフト使用など企業倫理の本質を問われる事件が多くありました。
 明るい話題では、ノーベル生理学・医学賞に大村智氏、物理学賞に梶田隆章氏が選ばれ、2年連続で日本の科学者が賞を獲得しました。スポーツ界では、ラグビーワールドカップで日本代表が予想に反する目覚しい活躍をし、フィギュアスケートの羽生結弦選手は世界最高得点を叩き出し、テニスの錦織圭選手は世界ランクが4位になるという偉業を成し遂げるなど、多くの分野において、日本人の名を轟かせることができました。

 当社では、本年も施工場所が広範囲となり、少人数での現場が多くなります。また都市土木工事が徐々に進行していき、より一層組織的な管理業務が求められてきます。現場間、現場と本社において情報を共有し、社内でのコミュニケーションを充実させることはもちろんですが、顧客の皆さんとより良い関係を保てるように、日頃から誠実な対応を実践し、ひとつ一つ信頼を積み重ね、更なる受注を広げて行くように努力が必要であります。
 当社のみならず建設業界では人材不足、人材育成に関する課題が山積しています。少子高齢化社会の宿命ではありますが、技術者不足、若年労働者不足は根気強く継続して活動しながら、必要な人員の確保をしていかなければなりません。当然ことではありますが企業は人であります。人を育てることが企業の成長であるということを再認識し、この課題に取り組んで行かなければなりません。

              ***** 啐硺(そったく)の機 *****

  私が社長に就任して5年が経過しました。その間、日本経済も建設業界の体質も急激に変化してきました。弊社にとっても、上向きの傾向が出てきて、異常な過当競争から厳しい契約を強いられることも減り、受注額は増えずとも、それなりの利益を確保するというあたり前の事が出来るようになってきています。私は景気が上向きになっていることはもちろんですが、価値観の変化が一番の原因だと思っています。建設業で言えば、その商いのベースにあるものが‘ものづくり’であること、その為に何を大切にしなければならないかということに、やっと気が付いてきたと言えると思います。
 この建設業界で共に生きていく社員の皆さん全員に、働く事の喜びを感じて、自らの人生が幸せであると感じて頂く事が私の重要な使命であると思っています。
 誰でも悩みや苦しみを感じることは当然のことです。その理由の殆どは人間関係にあると思います。周りの人が自分の思うように考えない、動かない事で悩みが始まります。必死で相手に変わって欲しいと願いますが、相手が自分の思い通りに変わることは、ほぼありません。この悩みを解決する方法は、まずは自らが変わることです。相手をコントロールしようとせずに、まずは自らが変わることです。そうすれば相手に対する見方も変わり、結果、相手を変えることができることになります。しかしこの自らが変わるという事は、大変、困難を極めることでもあります。
 雛が卵から孵化するとき、雛が内からつつく頃合に、母鳥が外からつつく様を「啐啄の機」といいます。弟子が師匠の教えを悟りつつある時に、師匠が弟子の殻を破る事を少し手助けする様を表現する言葉であります。人は一人では成長することはできません。自らが生きる力を振り絞って、殻を破ろうとしなければ何も始まることはありません。
 先に述べたように、業界の体質も急激な変化が訪れて、弊社も様々な変化を遂げてきました。そんな今であるがこそ、社内社外を見渡し、自らを見つめ直し、しっかりと足を地につけて、自らが生まれ変わる程の変化を実現して頂きたいと思います。その過程は、苦しく辛いこともあろうかと思いますが、社内には相談する相手は沢山いるはずです。自らが変わろうともがき、苦しみつつ、その打開策を間違い無く選択すれば、必ずこの「啐硺の機」が訪れて新しい世界が拓けて行くと思います。その結果、仕事に生き甲斐を感じて幸せな生活が送れるようになって頂きたいと願います。

                   *** 結び ***

 昨年、ラグビーワールドカップで日本代表が3勝するという歴史的快挙を達成させたのは、エディー・ジョーンズというヘッドコーチの人間力を駆使した指導力のおかげだと言われています。エディー氏の指導方法は、選手一人ひとりをよく観察し、その能力を最大限に引き出す手腕にあります。
 職場では、私も含めて、皆さんは、指導をする立場にも指導を受ける立場にもなることがあります。その上で、人と向き合って、自分がどう行動するべきか、常に答えを出さなければなりません。正面から苦しみに向き合い努力する時、同僚が苦しんでいるのを見て、ほんの少しの手を差しのべる時、また逆に荒治療を施す時、いろんな答えがあると思います。逃げずに、出した答えを実践し、結果、より多くの社員が自らの弱み、強みを理解しながら、自信を持って、自分の能力を最大限に発揮できる社員になり、会社になりたいと思います。
 本年も 「力強く信頼される(人)企業へ」 の経営理念のもとに、社員とご家族の皆様が、健康で安全な一年を無事に過ごせますようご祈念申し上げ結びの言葉とさせていただきます。

                                      株式会社塩月工業
                                    代表取締役社長 塩月啓司

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