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平成29年 社長訓示

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2017.01.04

                                      平成29年1月4日
社員各位

                  「思考を整理する」
              (平成29年新春を迎えるにあたって)

社員のみなさん、新年明けましておめでとうございます。
平成29年の新春を迎えるにあたり、ご挨拶申し上げます。
昨年を振り返りますと、事件事故など波乱が多かった一年であったのではないかと思います。
4月に発生した熊本地震では、多くの建物損壊やライフラインの寸断など甚大な被害と多数の死傷者が出ました。現在も物心ともに復興にはまだ道半ばという状況が続いています。弊社としては、被災された方々にお見舞い申し上げるとともに、引き続き、出来る限りの支援と協力をしていかなければなりません。
日本では、大手自動車メーカーの燃費データ偽装問題が発生したり、長時間労働の労務管理問題がクローズアップされ、法改正の動きが加速しました。福岡では当社の近接する現場でもある博多駅前の地下鉄工事現場で大規模な陥没事故が発生し、建設業界として社会的な信用を大きく失墜することとなりました。
政界では、東京都で小池知事が誕生し、豊洲移転場所の盛土問題や東京オリンピックの会場見直し等多難を極めています。オバマ米大統領が現職の大統領として初めて広島を訪問し、逆に安部総理は、真珠湾に総理として初めて訪問するなど日米関係は、あのパールハーバーから75年経過した昨年、戦争の当事者間で大きな節目を迎えました。任期を迎えた大統領選ではトランプ氏が大番狂わせの勝利を挙げ、韓国では大統領弾劾問題、イギリスの国民投票でEU離脱を選択、フィリピンのトランプと言われるドゥテルテ大統領の誕生など、世界各国で目まぐるしく、政治的に波乱が起きた一年でもありました。
明るい話題では、リオ五輪で史上最多のメダル41個を獲得し、東京オリンピック開催に弾みがつきました。ノーベル生理学・医学賞を福岡市出身の大隅良典氏が受賞し、日本人で3年連続の快挙となりました。

当社では、水野勉工事長が昨年の秋の叙勲にて、瑞宝単光章を受賞するという快挙を達成しました。国家からの個人表彰は弊社としては初めてのことで、誠に栄誉あることであると思います。推薦頂いたお客様に感謝申し上げると共に、水野工事長はもちろん、ともに汗を流してきた同僚や協力会社の皆様に敬意を評したいと思います。誠におめでとうございました。 
本年も施工場所が広範囲になります。全社的な連携、情報共有を行って、組織的なマネジメントが重要となります。リスクアセスメントをしっかりと運用し、経験と培った技術力によって、社員一人ひとりが、スピード感を持った対応を心掛け、顧客や協力会社を含む社外の方々と良好な関係を保ちながら、信頼を得る努力が必要であります。

                ***** 思考の整理学 *****

30年程前の1986年に出版された「思考の整理学」(外山滋比古 著)という本が今、売れています。著者の外山氏はまだ携帯電話やパソコンが普及してなく、バブルの絶頂期を迎えようとしている変革の時代に人間の思考の変化とその整理方法を深く掘り下げて考察しています。
外山氏のこの時代の問題提起は次のような内容でありました。『グライダーは、音もなく優雅に滑空し、その飛行の姿は実に美しい。しかし悲しいことに、エンジンを持った飛行機のように自力で飛び上がる事はできない。日本の学校教育はこのグライダーのように自力で飛行できない人間を沢山作ってきた。以前は知識を詰め込んだ者が優遇されてきた。人間の能力は受動的に知識を得るだけの「グライダー能力」と、自分で物事を考え意思を持って動き羽ばたくことができる「飛行機能力」がある。残念ながら学校は、このグライダー能力を求めて、飛行機能力を育ててこなかった。更に時代が大きく変わってきた。知識を詰め込む能力がずば抜けて優れ、人間の能力を軽く超えてしまうコンピューターの出現がしたからである。大量に作られてきたグライダー人間が如何にしてエンジンを積み込む事が出来るかを真剣に考えなくてならない時代が来た。』と、外山氏は30年前の危機感を痛切に述べています。
一方、昨年2016年に東ロボくんが東京大学合格を断念したことを発表しました。東ロボくんとは、日本の国立情報学研究所が中心となって立ち上げられたプロジェクト「ロボットは東大に入れるか」において研究開発が進められた人工知能の名称で、東京大学に合格できるだけの能力を身につける事を目標としていました。人間の思考はやはり人間にしか整理できないことを証明したとも言える出来事であります。
外山氏の問題提起から30年が経過した今、人間にしか出来ない、そして自分にしか出来ない思考を整理し、能動的に自らの考えをもって生き抜いていく。その結果、人、家族、組織、会社や人間社会に認められる人間であることが何よりも、人としての幸せである条件ではないかと思います。
 

                    *** 結び ***

昨年、プロ野球のセリーグでは、緒方監督率いる広島カープが前年4位から躍進し、リーグ優勝しました。緒方監督は、現役時代には修行僧と呼ばれるくらい、努力と根性と精神論をモットーとしていました。しかし就任1年目の結果によって、カープの前時代的な根性論では上位を目指せないことを見せつけられ、  監督は去年の自分を捨てることを決断しました。
まずは監督と選手という上下関係を取り払い、選手とのコミュニケーションを密にし、監督が目指す野球論を選手と共有することを徹底しました。更に、選手自らにスターティングメンバーを選出させ、監督コーチがそれを承認する方法を取り入れ、選手の‘能動的な’チーム作りを実践しました。結果的に、選手と首脳陣の距離が縮まり、選手自身が納得し責任あるプレーをして、結果を恐れないのびのびした広島野球が誕生したのです。
今までの自分を自問自答し、これまでの自分に囚われる事なく、目の前の壁に立ち向かう事、人をコントロールして変えようとせず、自らが変化する事、そうすれば大きな変化が周りに起こることを教訓として、この一年皆さん、ひとり一人が成長して、組織としても大きく変化することを期待したいと思います。
本年も 「力強く信頼される(人)企業へ」 の経営理念のもとに、社員とご家族の皆様が、健康で安全な一年を無事に過ごせますよう、ご祈念申し上げ結びの言葉とさせていただきます。
                                      株式会社塩月工業
                                   代表取締役社長 塩月啓司

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